─麻子と、田原。
俺の頭の中はすでに真っ白を通り越して、ただそれだけが、何度も、何度もループして繰り返していた。
いつもの帰り道。
続く、一本道。
それが一人であるということが、こんなに寂しいことだなんて、俺は今まで知らなかった。
「…なんで……」
幾度聞いても出はしない答えを、俺は求めていた。
…答えてくれる人は、もういないのに。
─ほんとは、少し期待していたんだ。
麻子は毎日、来てくれたから。
一緒に、帰ってくれたから。
「やっぱ飲む」……って、言ってくれたから。
俺の隣でいつも、
笑ってくれていたから─。
俺の隣はいつも、麻子だったんだ。
麻子の隣に、もう俺の居場所はない。
俺じゃ、ないんだ。