……なあ、麻子。
何年か後の俺たちは、きっと今には戻れない。
「社会」というものに馴染んで、こんな風に笑い合ってはいられないのかもしれない。
お前との帰り道に話したこと、
目が会うたびにドキドキしたこと、
翔太とちっちゃいことにいちいち盛り上がったこと、
憧れと言われて嬉しかったこと、
ときには辛くて、苦しくて、みっともなくもがいたこと………
そんなことを、ただ懐かしいと思う日が…来るのかもしれない。
…でも、変わらないものも
きっとある。
俺はつないだ手を、少し強く握った。
空は綺麗な夕焼けの赤。
となりに麻子。
…風は、追い風。
今ならどこまでも飛べる気がする。
こうなったらバスケバカ、
一生…
つらぬいてやるよ。