夕焼けが、俺たちを優しく…包む。

足元からスウッと伸びた柔らかな影。



「俺さ……学校の先生に、なろうかな」



真っ赤に染まる空を見つめて、俺は…言った。



「…それでさ、バスケ部の顧問になって、生徒にバスケを教えたい」



″……カバみたいに。″



「…………うん」


麻子は、小さく頷いた。



「…俺が先生になる、なんて…笑われるかもしれないけど─」



「………うん…」




「今の成績じゃ、とても無理だけど……」



「……………うん…」




「…俺を救ってくれた、バスケに…関わっていたい」


「…うん……っ…!」






麻子は、俺の手を…ギュっと、握って…


優しく、頷いてくれた。




夕焼け色、一色の空が…



俺たちに、微笑んだ気がした。