□□



―時計の針が、一時を回った。





…俺はまだ、考え込んでいた。



─行くのか、行かないのか。─




はたから見れば、まどろっこしいヤツだって…思うかもしれない。



でも、俺は、許されないことを…たくさんしてきた。



たくさんの人を、


……裏切ってきた。






こんな俺が、あの麻子との体育館に…何もなかったように、簡単に…戻れるわけがなかった。



『体育館』という、俺が全てをかけてきた特別な場所は…

きっと、今の俺を受け入れてはくれない。



自信もなかった。

麻子が『すきだ』と言ってくれた『俺』は、もう今の俺には…残っていないかも、しれない。



俺には、麻子を幸せにしてやることが…





…できない。





本当は…行きたい。




…でも、行けないよ。






行けない。