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―時計の針が、一時を回った。
…俺はまだ、考え込んでいた。
─行くのか、行かないのか。─
はたから見れば、まどろっこしいヤツだって…思うかもしれない。
でも、俺は、許されないことを…たくさんしてきた。
たくさんの人を、
……裏切ってきた。
こんな俺が、あの麻子との体育館に…何もなかったように、簡単に…戻れるわけがなかった。
『体育館』という、俺が全てをかけてきた特別な場所は…
きっと、今の俺を受け入れてはくれない。
自信もなかった。
麻子が『すきだ』と言ってくれた『俺』は、もう今の俺には…残っていないかも、しれない。
俺には、麻子を幸せにしてやることが…
…できない。
本当は…行きたい。
…でも、行けないよ。
行けない。