ヒンヤリとまだ冷たさの残る目を開き、母さんの方に振りかえる。
遠慮がちに近寄ってきた母さんは、俺に一通の手紙のような物を差し出した。
「…さっきの女の子が、元也に渡しておいてくださいって…」
(麻子……が?)
─ドクン。
心臓が跳ねる。
小さな母の手から、ゆっくりとそれを受け取った。
うす黄色の、綺麗な封筒。
その裏には、麻子の字。
『元へ』
俺はその手紙を抱えて、すぐに二階へと走り上がった。
…心臓の高まりを、押さえられない。
『元へ』
その封筒の中に、何か大切な…大切なものが入っている、そんな気がして。
部屋のドアを乱暴に閉める。
そして、俺は、
壊れ物を扱うかのように。
はやる心臓の高鳴りを押さえながら……
封筒の栓を、そうっと…
解いた。