親父の葬式の時も、
出場停止が決まった時も、
…俺は、泣けなかったんだ。
でも今初めて、麻子の胸で……涙を流した。
「……親父に、ひどいこと言ったんだ…」
「……うん」
「……謝りたかった…っ!」
「……うん…っ」
「……親父を、越えられなかった…っ……」
「………うん…っ…」
「みんなを…バスケ部のみんなを……っ…裏切った……」
「……………うん…」
…ごめん。
ごめん。ごめん。
ごめんな。
「………うん」
麻子はずっと、俺を抱き締めていてくれた。
後悔、
焦り、
不安、
恐怖、
嫉妬、
苛立ち、
不甲斐なさ、
自己嫌悪、
そして…逃れられない、苦しみ。
俺の全ての負の感情を、
麻子は…その小さな体で、
…受け止めてくれたんだ。