チッチッチッチッチッ…
続く息苦しい音に、いっそ時計本体を止めてやろうかと、そう思った時。
─カチ。
時計の針が、12をさした。
息をのむ。
…試合が、始まった。
チッチッチッチッチッ…
チッチッチッチッチッ…
一秒一秒が、長く感じる。
…部員のみんなも、こんな気持ちで過ごしているのだろうか。
…こんな、やりきれない気持ちで時計を見ているのだろうか─。
チッチッチッチッチッ…
無情な音の並び。
次々と流れ出るそれは、容赦なく俺を責め続ける。
体中にまとわりつく罪悪感から逃れたくて、時計とは反対に寝返って布団を被った。
チッチッチッチッチッ…
早く過ぎ去って。
いっそ止まって。
俺を消してくれても、いいから。
忘れたいのに、
眠ってしまいたいのに、
…俺の目は、時計を見つめて、見開いたまま。
チッチッチッチッチッ…
─カチ。
…そして針が、惜しげもなく一定のリズムを刻みながら…
12へと
戻った。
…終わった。
……俺の、最後の試合が。
……俺の、青春が。
呆気なく…針はそのまま、俺の全てがかかった、12の文字盤の上を…過ぎていった。