「…そう…だが……?」


俺は、受話器をきつく、握り締めた。


「わかりました」

「おいっ!早水…っ!」



―ガチャン。


受話器を乱暴に戻して、俺は急いで玄関へと走った。

…手が震えて、靴がうまく履けない。







…俺は制服にも着替えずに、家にいた格好、そのままで学校へと…走った。








―嫌だ。


いやだいやだいやだいやだ………












これ以上、失えないよ。






…俺が失うものなんて、もうないのかもしれないけど







…翔太…青木…そしてみんなの、


アイツらの居場所だけは、奪っちゃいけない―。









俺のこの手で、奪いたくない―……













足が、縺れる。








闇の中を、俺は必死に…ただ、手探りで進んだ。










―この世に神様がいるなら、


どうか







…どうか、









俺に、これだけは




守らせて……


―………………
――……