それは…次の晩の、ことだった…


―……………
――……………


俺がどんなにこすっても、赤い斑点は消えなかった。

それどこれか、一層にどす黒く、俺の心に染み付く。

俺は逃げるように二階に上がり、ベットの下にそのTシャツを…放り込んだ。


―証拠を隠したかったわけじゃない。




俺の中に棲みつく、もう一人の「俺」から、逃れたかった。



―俺が俺じゃ、なくなっていく。



…今にも、俺は「俺」に、食いつくされてしまいそうだった。




…………本当にそれ以後は、何も覚えていないんだ…



―ただ、気が付くと日は昇り、また沈んで…闇が訪れていた。






―…プルルルル…



闇に光る赤いランプ
真っ暗な家で、電話のベルが、鳴り響いた。


…プルルルル…



闇の中の赤いランプは、間違いなく俺を呼んでいた。