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「~っ止めなさい!」
夢から、いきなり現実に引き戻されたような。
…気が付いたときには、俺は三十代くらいのサラリーマン二、三人に取り押さえられていた。
…そして目に飛び込んだのは。
「──っ、」
先程まで、俺に絡んでいた『ソイツ』が、車にひかれたシカのように、横たわっている姿。
そして、
俺の白いTシャツに、飛び散った…赤い、斑点。
……真っ赤な、血。
″俺は……何を…?″
体の全てに、鳥肌が立った。
唇が…ガタガタ震えだす。
わからなかった。
脳が理解を拒んでいるかのように。
次の命令信号を、出してくれない。
…俺は、俺の身体を捕らえている手を振り払って、
全速力で、
ひたすらに……走った。
─光を求めて。
俺の暗闇にさし込む、
俺をこの世界から救ってくれる、
光を…………求めて─。