…もう何日も、携帯の電源は切っていた。
きっと、翔太は、何通もメールを寄こしてくれているだろう。
……そして、麻子も。
あんなにひどいことを言って傷つけたのに、何故だか俺はそう確信できた。
親指を、宙に泳がす。
…電源は、入れなかった。
もう何日学校へ行っていないだろう。
試合が近いことは頭のどこかに刻まれていたが、脱け殻に化した俺の頭は単調な文字列すら紡ぎ出せなくて。
何も見えない。
全てがぼやける。
もう庭のバスケットゴールすら…色褪せて朧気だった。
もうボールにすら、触れなかった。
ベットに一日中身を預けている俺は、自分が本当に生きているのかさえ…分からなくなってきていたんだ。
部屋の隅には、赤津さんから頼まれたはずのボールが、
…無造作に、転がっていた。