…今日も完敗、か。
がっくりと肩を落とす俺の頭を、コツン…と小突いて、親父は言った。
「まだまだだな」
毎日聞いたその台詞。
苦笑いのような、なんだかよくわからない笑みを返した俺。
それに、またくしゃりと笑って家に入っていく親父の広い背中を、悔しさと憧れの気持ちでぼうっと見つめた。
スピードでも敵わないし、テクニックでも敵わない。それにまだ、俺は自分があんなオーラを出せるとも思えない。
『まだまだだな』
確かにその通り、俺はまだまだあなたに敵わない。
でも俺だってあなたの息子だ。絶対親父のようになってみせるから。いや、それ以上を目指すから。
親父、いつか、必ず、越えてやるよ。