いっそう勢いを増した、母さんの涙。


彼女の目から溢れ出る雫は、頬に何本もの筋を描いた。




″赤津先輩…″




「まさか…敦也が……事故にあったと聞いた時は、本当に耳を疑いたくなったよ…」


『赤津先輩』は、拳を固く握り締め…下を向いたまま、そう言った。


口にあてたタオルから、母さんの嗚咽が漏れる。

その光景に、唇を噛んだ。



「…君が……元也くん?」


彼…赤津さんは、俺に向き合ってゆっくりと尋ねる。


「敦也の…お父さんの若い頃に、そっくりだ」


そして、ニッコリと微笑んだ。


…少し、親父の笑顔に似ていた。



「目元は、美智子ちゃん似だけどね」


そう言って「赤津先輩」は、俺の手の中に収まっている親父の写真を見つめて、話し出した。


「敦也とは、高校時代同じバスケ部でね…」