「夕方、お前たちの家に行ったんだ。
そしたらお前はもう仕事でいなくて、桜子がひとりで居間に倒れてた」


「……家に、来たんですか?」


「お前に報告することがあってな」


心臓がギュッと絞られたように萎縮する。


運命のときは、

こんなにも唐突にやってきた。


「言ってもいいか?」


叔父の問いに、僕はゆっくりとうなずく。

そして無意識に唾を飲みこんだ。


怖くなかった、といえば嘘になるだろう。

真実を知ることは正直とても恐ろしかった。


けれど僕らは、

今日までさんざん悩んで、

迷って、

涙を流して、


そして痛感したんだ。


どうしてもこの恋をなくしたくはない、と。


……桜子。


僕は、もう、

真実から逃げないよ。



叔父が僕の両肩をきつく掴んだ。

その両手にこもる力の強さが、僕を動けなくさせた。