僕は顔をあげ、振り返る。
……驚いた。
前に会ったときより、ずいぶんと痩せて見えたから。
「――叔父さん…」
5ヶ月ぶりの叔父の姿がそこにあった。
体がひとまわり小さくなって、目の下にはクマができていた。
それなのに叔父は僕を見て、
「お前、何て顔してんだよ」
と笑った。
僕も相当にひどい顔をしていたらしい。
医者と義広は、僕らに軽く頭を下げて出て行った。
病室には僕と叔父、そして眠っている桜子の3人だけになり、
ほんの少し空気が張り詰めた。
「あ…ありがとうございました」
僕は震える声で言った。
「桜子を運んでくれたって……」
「うん」
「本当にありがとう……」
「うん」
叔父は何度もやさしく相づちを打った。
まるで背中をぽんぽんと叩くように、やさしいリズムの相づちだった。
そして、彼の顔がふいに真剣になった。