受付の奥にある自分のデスクに座り、タバコをくわえ、いつものように電卓をはじく。
くだらないミスを何度もした。
まったく集中できなかった。
気づけば灰皿はタバコの吸殻でいっぱいだった。
「吸いすぎでしょ」
あきれた様子で声をかけてきたマユミに、僕は苦笑いを返す。
「イライラしてる?」
「ん……ちょっとな」
マユミは僕の椅子の背もたれに両手をついた。
彼女のハスキーな声が、頭の上から降ってきた。
「さっきね、みんなで桜子ちゃんの話してたの」
「え?」
思わず振り返る。
心配とおせっかいを中和させた瞳で、マユミは僕を見下ろしていた。