後日、叔父の家まで行って理由を聞こうと思ったが、彼は何も教えてはくれなかった。
ただ、「拓人とは別れろ」の一点張りだったそうだ。
そしてある日、桜子もついに見つけてしまったのだ。
桜の木の下で微笑む、父と母の写真を――
「すぐに隠したの」
と桜子は言った。
「拓人に見つかっちゃいけないって思って、私ね、写真を押入れの一番奥に隠した」
なのに、と彼女は声を詰まらせた。
「……ごめん」
僕は彼女の腕をつかみ、つぶれそうなくらい強く抱きしめた。
「ごめん……ごめん」
何にあやまっているのか自分でもわからなかった。
けれど他に何を言えばいいのかも、わからなかった。
桜子は僕の胸に顔を押し付けて、
苦しいのか、悲しいのか、
わからないけれど泣いていた。