「ごめんね」

「え?」

「たしかに私、しつこかったよね。……ごめんなさい」


苦しそうに言って桜子はうつむいた。


あやまるべきなのは僕の方なのに。


小さな体を震わせる彼女に、胸が激しく締め付けられる。


「違う、桜子は悪くないんだ」


本当にごめん、と僕は頭を下げた。


怒ってくれた方がマシだった。

できることなら、ビンタのひとつでも食らわされたかった。


どうしてこんなバカな僕を、いつだって彼女はひたむきに想ってくれるんだろう。


「桜子」

「ん?」

「タバコ、消すからさ。そばに来てほしいって言ったら、嫌?」

「……嫌」