「ここがね、ピクンってしたんだ」
「……気のせいじゃない?」
「違うよ」
「そうだって」
「ううん、絶対――」
「しつこいなッ!」
「……っ」
桜子の顔がみるみる青ざめ強張った。
周囲はしんと静まり返り、訝しげな視線を僕らに向ける。
意識と関係なしに飛び出した僕の言葉に、おそらく僕自身が一番動揺していた。
「ごめん」
それだけ言い残し、いたたまれずに逃げ出した。
様子を見ていた人たちが気まずそうに、さっと道を開けた。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…