夕方まで爆睡した僕たちは、様子を見にきた義広の気配で目が覚めた。


寝起きの頭はすぐに状況が理解できず、僕は軽くパニックになった。


まず、目に飛び込んできた見慣れない部屋に驚いて、

それから隣にいる桜子に驚いて、

あげくベッドから落っこちた。


「何やってんだ、あんた」


そう言って義広はあきれたように笑う。

僕は目をパチパチさせて、


「え、あの、ここって」

「病院だよ。寝ぼけてんのか?」

「あ……」


薬剤のにおいが鼻をつく。

わずかなドアの隙間から、足早に歩く白衣の女性が見える。