その夜、桜子は自分のベッドで眠らなかった。
僕の部屋の、
僕のベッドで、
僕の腕に包まれることを選んだ。
「一応、話しておくけど……」
熱を帯び始めたキスの途中で、彼女が言った。
「……私、初めてなの」
「え?」
「お店では、最後まではしないでしょ?だから」
極度の緊張のせいなのか、語尾がかすれて消えていく。
僕は微笑みながらうなずいて、彼女の洋服を一枚ずつ脱がせた。
顔や首筋よりも、ひときわ白い肌がそこにあった。
そっと唇を這わせたとき、
彼女の体がかすかに震えた――か、どうかは分からない。
僕だって、相当に震えていたのだ。