唇を離してその方向を見る。
……かぁっと頬が赤くなるのが、自分でもわかった。
「叔父さん……」
水色のストライプのハンカチを持って、叔父が立っていた。
「あ、それ、私の忘れ物……?」
「……」
桜子の言葉に叔父は何も答えようとしない。
というより、言葉が出ない、といった様子だった。
……さっきのキス、確実に見られちゃったな。
僕はバツの悪い気持ちで頭をかく。
けど、別に悪いことしてるわけじゃないんだし――
「――お前ら、何してるんだ?!」
え……?
一瞬、怒鳴られたということすら理解できなかった。
叔父はものすごい剣幕で歩み寄ってきたかと思うと、突然桜子の腕を鷲づかみにした。