叔父の家に待望の初孫が生まれたのは、ほんの数日前のこと。
今日はそのお祝いにやって来たのだけれど、
想像以上の叔父のデレデレっぷりに、僕も桜子もすっかり面食らった。
「ごめんねー、ほんと。お父さんったら、スミレが生まれてからすっかり爺バカになっちゃって」
あきれ口調でそう言いつつも、
舞さん自身、我が子が可愛くてしかたないといった顔だ。
僕のイトコにあたる舞さん。
今までほとんど交流がなかったけど、最近は親戚の集まりなんかで会う機会も増えた。
桜子と出逢うきっかけを与えてくれたこの血筋を、
僕は今、ありがたく思っている。
「ところで」
と舞さんが言った。
「桜子ちゃんは、彼氏とかできた?」
ドキッとする質問に、叔父は
「桜子はいつまでたっても子供だから、当分男なんか無理だろ」
と口をはさむ。