「俺ね、彼女が働いてる姿は見たくなくて。
あ、別に風俗嬢を否定してるんじゃないっすよ?
ただね、やっぱ好きな女の場合は、どうしても無理です」
そう言ってコバは苦笑する。
僕はコバが現場仕事している姿を想像してみたけれど、いまいちピンとこなかった。
たしかに見た目でいえば、それっぽくはなったかもしれない。
けれど、
「女と酒がなきゃ生きていけない」
が口癖だった、以前の軟派な彼を思うと、どうにも結びつかなかった。
「……自分でもそう思ってたんですけど」
とコバが言った。
「やっぱ、本気で惚れた女がいると、それまでの自分なんか吹っ飛んじゃうんっすよ」
そう言って、困ったように笑う。
とても、いい顔をしていた。