あわてて部屋に招き入れ、クーラーのスイッチを強で入れる。


コバは申し訳なさそうに部屋のすみで正座し、しきりに汗をぬぐった。


「で、どうした?いきなりたずねてきて」

「いや、あの……」


口ごもるコバ。

と思ったら、彼は急に土下座した。


「あの、例のこと……本当にすみませんでした!
店長に迷惑かけたばかりか、桜子ちゃんまで風俗嬢になっちゃったって聞いて……本当すみません!」


「……」


僕と桜子は顔を見合す。


そして、同時に吹き出した。


「いや、もういいから、コバ!」

「……え?」

「ちなみに私、とっくにお店はやめたからね」

「え?え?」


コバは僕と桜子の顔を交互に見て、目をしばたたかせている。


コホン、と咳払いして僕は言った。


「むしろコバのおかげで、俺は桜子への気持ちに気づくことができたんだから」

「ええーっ?!」


コバの甲張り声が響く。

どうやら相当に驚いたみたいだ。