こうして僕たちは、兄妹から恋人同士になった。 けっきょく桜子の噂を流した犯人を特定できないまま、彼女は店を辞めた。 ひとつだけ分かったのは、 コンパニオンたちのほとんどが桜子を敵対視していた、ということだ。 稀有な美しさは時として、醜い嫉妬の引き金になる。 女を売り物にしたあの世界では特に。 ただの中華料理屋の店員に戻った彼女は、 今までよりずっと、 幸福そうだった。