僕がそう望んだ?


そんなことない。

血のつながりはなくても、
こうして僕らは支えあって暮らしているのだから。


けれど、

たしかに以前、ただの親戚だとコバに話したのは僕だ。


けれどそれは、

ただ詮索されるのが面倒だっただけで……


「さ!今日は疲れたからもう寝るね」


必要以上に元気な声でそう言って、桜子は部屋を出て行こうとする。


僕はそれをとっさに呼び止める。


「桜子!」

「……っ」


びくん、と彼女の体が固まり、ドアの前で止まった。


ふりむこうとしない彼女の背中に、僕は語りかける。


「……来年も、行こうな」

「え……?」

「あの公園。来年もいっしょに行こうな」

「……」


彼女の表情が見えないせいか、僕の口からは素直な言葉があふれてくる。


僕の正直な気持ち。

精一杯の気持ちだ。