「桜子ちゃんかあ~。お上品な名前だね。
あっ、もしかして成瀬店長が今日休みをとったのって、君のため?
店長とはどんな関係なの?」


「どんなって……」


桜子の視線がちらりと僕を向いたけれど、

僕はそれを見て見ぬふりした。


なぜなら、こんな風にたじたじする桜子を見るのは初めてだから、

ちょっと興味があったのだ。


さて、何て答える?


いつもの調子で元気よく、

“私のお兄ちゃんでーす”?


それとも

“恋人同士だよ”

なんておどけてみる?




「遠い……親戚です」




あれ?


「そっかあ。店長の言うとおり親戚なんだ」

「はい。すっごい遠い親戚」

「美形の家系なんだねー」


あれれ?


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