キヨちゃんのピアノ演奏に合わせて皆で歌う。



時折、キヨちゃんが各パートや全体に、短く注意する。



「全体的に、今の伸ばし、ちょっぴり、短く。」



その注意は的確で、オケ部の連中も、リーダーグループの女子達も、反論しない。



そんなキヨちゃんが、頼もしくて、皆がこの瞬間だけ認めてくれている気がして、私は嬉しい気持ちと、少しだけもやもやした気持ちが心の中に現れた。



なんでもやもやするんだろう?キヨちゃんが皆に認められるなんて、素敵なことじゃん。



と、自分に言い聞かせているのに、なんだか、キヨちゃんの良さに最初に気付いたのは私だもん…みたいな変な嫉妬心が沸き上がって止まらなかった。