「苦しいなら、無理して話さなくても、いいよ…?」



私の言葉に、キヨちゃんはふるふると首を振る。



そして、さっきより私と向き合いながら、話を再開した。



「冬になると、でこぽん、がっこ、来なくなった。そのまま、俺、二年生、なろうと、してた。」



握った手に力がこもる。多分、ここからが、キヨちゃんにとって辛いところ。



「2月、下旬、駅の近く、でこぽん、いた。ヤバそうな奴ら、一緒だった。俺、それ、着いてった。」



キヨちゃんがごくり、と生唾を飲む。部屋には、時計の音だけがやけに大きく響いていた。