旭や私に何か言われるのも覚悟の上の小町里奈は、少し俯きがちだ。



そんな彼女に、私はこう言った。



「ね、クラスメイトになって二ヶ月は経つのに、苗字なうえにさん付けって嫌じゃない？」



その言葉に、旭も、小町里奈もぎょっとする。



「…何？」



私はそれぞれの顔を見比べる。すると、それを見ていたキヨちゃんがくくく…と小さな声で笑い出した。



「みー、らしいね。」



キヨちゃんがあまりにも笑っていたから、カゲがこちらに気付いて叫ぶ。



「なんだー？美和ちゃんアンド旭と里奈が仲直りしてるー！皆！仲良し記念日に乾杯だー！」



ホントはとにかく乾杯したいだけな気がするけど、まあいっか。



今日は、私が少しだけ成長出来る一日になった、そんな気がした。