始めの時は、パート練さえ上手く行かなくて苦しんだこの曲。



キヨちゃんの強弱がしっかりしたピアノに、旭の風を切るように指揮されるタクト。



四つのパートが重なって、声が混ざる。声が、震えた。



ああ、私…。泣きそうなんだ。



なんて思いながら、苦労したブレスや伸ばす部分をこなす。



そうしているうちに、課題曲が終り、自由曲の指揮者カゲと旭が入れ代わる。



カゲが目配せしてタクトを振ると、キヨちゃんが繊細で神経質な指先が、鍵盤を走り出した。



それは、カゲの編曲に更にキヨちゃんがピアノ編曲を加えた伴奏。