ばさり。
シャリアは、思わず手紙を取り落としてしまった。
大の男が、いや一国の王の書く手紙とは、とても思えなかった。
しかも、結婚式の日付も何も書いていない。
これで、いったい、どうやって出席しろと言うのか。
いつものことながら、頭が痛い。
「お母様、よくこんな人と結婚したね」
「わたしもそう思うわ」
母は笑って肯定するとシャリアの落とした手紙を拾い上げ、大事そうに懐に忍ばせた。
シャリアの母シャレンは、草原を統べる一族、フィアールの女長であると同時に、遠く離れたウィルランドの王妃でもあった。
シャレンが王国に嫁いだときには、フィアールは、彼女の従兄にあたるものが、次代を担うことになっていた。だが、世継ぎを残さぬまま早世したため、シャレンはまだ生まれてまもない幼い娘とともに草原に戻り、長の地位を引き継いだのだった。
シャリアは、思わず手紙を取り落としてしまった。
大の男が、いや一国の王の書く手紙とは、とても思えなかった。
しかも、結婚式の日付も何も書いていない。
これで、いったい、どうやって出席しろと言うのか。
いつものことながら、頭が痛い。
「お母様、よくこんな人と結婚したね」
「わたしもそう思うわ」
母は笑って肯定するとシャリアの落とした手紙を拾い上げ、大事そうに懐に忍ばせた。
シャリアの母シャレンは、草原を統べる一族、フィアールの女長であると同時に、遠く離れたウィルランドの王妃でもあった。
シャレンが王国に嫁いだときには、フィアールは、彼女の従兄にあたるものが、次代を担うことになっていた。だが、世継ぎを残さぬまま早世したため、シャレンはまだ生まれてまもない幼い娘とともに草原に戻り、長の地位を引き継いだのだった。