ふいに問いかけられて、ロランツはカリナを振り向く。何のてらいも迷いもなく答える。
 答えられる。

「愛しています」

 あまりにも即座に、そして落ちつきはらった態度のまま返ってきた答えに、カリナは目を丸くした。

「参ったね」

 淡い金色の髪に手を突っ込むと、頭をかく。

「お兄様は本気よ」

 思わずフォローを入れるシャリア。
 感情をあまり表に出さない兄の答えは、簡潔すぎて、誤解を招きかねない。

「いや、信じないと言うわけじゃないんだよ。あの子のことを、本当に好いてくれているらしいことは聞いていたし。そうでなければ、今ここにはいないだろうしね。でも、正直ここまでだとは思ってなかったよ。世間知らずの王子様が、毛色の変わった女の子を物珍しがって可愛がっているのかと、その程度に思っていた。まったく、そんなに簡単に即答されたら、こっちの方が恥ずかしいじゃないか。でも、それなら、なおのこと聞いておかなければならないね」

 彼女の明るい茶色の瞳に厳しい光が浮かんだ。そうすると見かけの年よりもずっと年上に見えた。

「あの子がただの女の子になっても、魔女でなくなっても、それでも、あなたの気持ちは変わらないのかい?」