「お兄様、お久しぶり、お邪魔?」
侍従長を突き飛ばしておいて平気な顔で入ってきたのは、青い瞳のひどくロランツに似た面差しを持つ、かわいらしい少女だった。年の頃は、十五、六ほどか。しかし、みなりはこの国の姫とも思えぬほど、みすぼらしい。
無造作にお下げに編んだ髪は、本来は兄と同じに見事な銀色のようだが、土埃をかぶっているのか艶を失っていた。ところどころにつぎはぎのある長めのたっぷりとした上着と細身のズボンも同様である。
姫君どころか、単に宮廷に出入りするにもふさわしからぬ格好である。
突き飛ばされた侍従長がほうほうの体でこの場を辞していくのを視界の隅で捉えながら、ロランツは口を開く。
「シャリア、君は相変わらず元気そうだな」
侍従長を突き飛ばしておいて平気な顔で入ってきたのは、青い瞳のひどくロランツに似た面差しを持つ、かわいらしい少女だった。年の頃は、十五、六ほどか。しかし、みなりはこの国の姫とも思えぬほど、みすぼらしい。
無造作にお下げに編んだ髪は、本来は兄と同じに見事な銀色のようだが、土埃をかぶっているのか艶を失っていた。ところどころにつぎはぎのある長めのたっぷりとした上着と細身のズボンも同様である。
姫君どころか、単に宮廷に出入りするにもふさわしからぬ格好である。
突き飛ばされた侍従長がほうほうの体でこの場を辞していくのを視界の隅で捉えながら、ロランツは口を開く。
「シャリア、君は相変わらず元気そうだな」