「くぅーーー乙女かっ」


「恒例かっっ」


「定番かっーーーーっ」



机をバンバン叩きながら、私は響加に突っ込みを入れる。

ちなみに、響加は関係ない。

でも、机は響加のだ。

響加は、ひたすら、私の喋ることに頷いてくれている。

私だけじゃない。

教室は、あの、炎の転校生の話題でひっきりなしだった。



くぅうーーー



炎の転校生だって!!!


「くさーーー私ってくさーーーーー」

バンバンバン。

ごめんねーー

響加・・・の、机ーーー

叩きまくっちゃってるね☆

笑いが止まらないよ~~。




「ねぇっさっきの転校生!!来るって噂よ!」




教室の後ろの方で、誰かが話している。

思わず、聞き耳を立てる、私と、響加。



「来るって? どこに??」

「だからぁ~・・・この教室によぉぉ!!!!」





しーーーーーん。

教室が、静まりかえった。

そして、さっきの校庭同様、一斉に騒がしくなる。





もし、もし、もしかして・・・

聞き耳を立てていたのは私だけじゃなくて・・・



この教室のほとんどーーーーー!?!?!?!?!?!?!?!?








「だからーー定番かっ」

そう叫んだ私の声なんて・・・

隣に居る響加に届くか届かないかの音量だったはずだ。