かき混ぜる。各代理店用に分けられた名簿を見つけ侑に返信する。5分後再び侑からメール。
「今度はなんだ~?」
鈴の独り言は日常的。自分の世界に入っているらしい。
「え?帰り一緒に…。」

…ー一緒に帰ろう。仕事が終わったら事務所に電話して。石井には俺と帰ると伝えておくように。

(言えるか!)
心の中でつっこみ。一緒に帰ろうなんて高校生みたいな誘い方に侑らしさが出ていた。

23時。仕事がひと段落ついた。今日を乗り切った!という感覚だ。営業マンは既に帰っている。総務室にも鈴一人。銘は用事があると先に帰っている。
「まぁ、一人だし侑に電話するか。」
女の夜の一人歩きは危険だし、と侑の事務所に電話をかけた。
「あたし~。終わったよ~。」
電話にはいつも通り侑が出た。
「やっぱり掛けてきたか~。待ってたぞ~。」
「は?」
「あいつは?」
「用事があるって先に帰ったよ。」
本当に鈴は正直。
「へぇ~。俺に譲ってくれたのかなぁ~。」
何やら意味深な発言。あの銘がいくら用事があるからと言って鈴を置いて帰るはずがない。
「え?」
意味が分からずしばし考え込む。その間に侑は
「じゃあそっちに行くよ。下に来いよ。」