四人が恭の家に戻った時には既に日が暮れ、辺りは真っ暗になっていた。帰る途中にコンビニを見つけ、食糧を調達していたからだ。
リビングに入ると、恭は持っていた食糧を机に置き、ドカッとソファーに座り込んだ。
「あー、疲れた!蒼依達も、自分の家だと思って好きにくつろいどけよ。寝るなら自由に部屋使っていいし」
恭が気前良く言った後、同じくソファーに座って食糧を机に並べていた蒼依が、思い付いたように恭に問い掛けた。
「ねぇ! 私、いつもの和室借りてもいい?あの部屋、落ち着くから好きなんだ」
和室とは、恭の家に泊まりに来た時に毎回使っていた部屋だ。蒼依、恭、そして弟の裕太の三人で川の字になって寝ていた思い出深い場所でもある。
「もちろん!じゃあ、光璃ちゃんは裕太の部屋使いな。桐生は……庭で寝るか?」
恭が悪戯っぽくニヤつきながら隼人の方を見た。
「喧嘩売ってんのか?」
そう言いながら恭を睨む隼人の周りには、明らかに黒いオーラを漂っている。それに気付いた恭が慌てて首を横に振った。
「冗談冗談! 桐生は俺の親父の部屋使えばいいから!」
隼人は不機嫌そうにフンと鼻を鳴らすと、自分の鞄と一人分の食糧を手にリビングを出ようとした。その行動に、蒼依が驚いたように呼びかける。
「桐生、どこいくの?」
「武器の整備してくる。部屋はどこにあるんだ?」
隼人が恭の方を振り返りながら、素っ気なく尋ねた。恭はソファーに座ったまま、階段のある方向を顎で指しながら答える。
「二階に上がって、左側の一番奥の部屋だよ」
それを聞くと、隼人は踵を返してリビングを出ていってしまった。隼人が出ていった後の扉を見つめながら、恭が感慨深そうに呟いた。
「桐生は、いまいち掴めないなぁ」
「恭が怒らせたんじゃないの? 桐生に冗談なんか言うから」
蒼依の言葉に、光璃も同意したように頷いた。その途端、目に映るほどの早さで恭の顔から血の気が引いてゆく。
「うそ……俺が悪いの!? 謝ってきたほうがいい!?」
「さ、光璃ちゃん、御飯食べよっか!」
蒼依は恭を完全に無視し、光璃に笑いかけながら箸を握った。