「んで? 具体的に何をどうするんだ?」
恭が腕組みをしながら隼人に尋ねた。
「とにかく、Separate World 管理局を探しに行く」
隼人は、恭の部屋の窓から外の様子を伺いながら手短かに答える。その言葉に続いて、蒼依が口を開いた。
「でも、どの辺りを重点的に探そっか? 恭……は来たばっかりだから分かんないよね。光璃ちゃんは何か知らない?」
「光璃は、三日前にここに来てからずっとお家にいたので、何も知らないです」
光璃が申し訳なさそうに俯いた。それを見て、蒼依は「そっか」と落胆のため息をつく。
蒼依、恭、光璃の視線が自然と隼人の方に移動する。隼人は、そんな三人を横目で見ながら、めんどくさそうに話した。
「俺も知っている区域は大体廻ったけど、何も見つかってない。……地図とかあったら便利なんだけどな。出来れば、県内の地理を詳しく書いたものが」
隼人の言葉に、蒼依が難しそうに顔をしかめながら呟いた。
「地図かぁ。市内の地図なら普通の家にもありそうだけど、県内となると……公共機関とかなら見つかるかな?」
蒼依が少し自信なさ気に言った後、しばらく考えを巡らせていた恭が思い付いたように提案した。
「あ、学校ならあるんじゃね? 社会の授業とかで使いそうじゃん。ここから近いし、行って損はないだろ」
名案だと言わんばかり胸を張る恭に、光璃が抱き着きながら声を上げた。
「恭ちゃん達の学校ですか!? 光璃も行きたいです!」
「だよな! 行こ行こ! ……あ、ついでに購買行こうぜ。あそこのメロンパン、めちゃくちゃ美味いんだ」
「本当ですか!? 光璃、メロンパン大好きです!食べたい!」
メロンパンで盛り上がる恭と光璃に、隼人が戒めるような目を向けた。
「おい。言っとくけど、遊びに行くんじゃねぇんだぞ。関係ない場所には行かないからな」
「なんだよー、桐生のケチ!」
恭が拗ねるように口を尖らせたが、隼人は完全に無視をし、素知らぬ顔で話をまとめた。
「そうと決まったら、さっさと行くぞ」
隼人の言葉を合図に、四人は立ち上がって恭の部屋を後にした。目指すは学校だ。