「久しぶりです!」


光璃が笑顔でそう言いながら、恭に抱き着いた。どうやら、かなり懐かれているようだ。恭は昔から子供好きで、扱いがうまいためもあるのだろう。


「裕太が心配してたよ。光璃ちゃんが全然学校に来ないって」


光璃に笑いかけながら話す恭に、蒼依が再び口を開いた。


「恭、私たち元の世界に戻る方法を探してるの。恭も一緒に行くよね?」


「恭ちゃんが行くなら、光璃も行きます!」


光璃が弾んだ声を出した。しかし、隼人は一人浮かない顔をしている。


「勝手に話を進めんなよ。俺は団体行動が嫌いだ」


「クラスメイトなんだから、別に良いでしょ?」


蒼依がなだめるように言ったが、隼人は相変わらず不機嫌そうだ。


「じゃあ、俺は抜けて一人で行動する。お前らはお前らで動け」


隼人はそう言い残し、部屋の出口に向かって歩き出した。しかし、蒼依が咄嗟に隼人の腕を掴んだ。


「ダメだよ!リーダーがいなきゃ、まとまらないじゃん!」


「勝手にリーダーにすんな!」


「だって、一番詳しいもん。私も恭も、この世界に来たばっかで何も分からないし」


部屋を出ようとしている隼人を説得する蒼依の後に続き、光璃が申し訳なさそうに呟く。


「光璃もここに来て間もないので、よくわからないです」


「ほら!だから、みんなで一緒に行こ!? お願いだから!」


蒼依が懇願しながら隼人を引っ張って部屋の出口から引き離した。


一緒にいることを強制され、舌打ちする隼人に恭が真面目な声で問い掛けた。


「本当に……帰る方法があるのか?」


「だから、今探してんだよ」


隼人は大きなため息を着きながら答えた。恭は「ふぅん」と考え込むように俯いた後、明るい笑顔を向けて言った。


「……じゃあ、俺も一緒に探そっと!よろしくな!」