「読めば?それで大体わかるから」
隼人が封筒を顎で指しながら言った。
蒼依はしばらく不信の目で隼人を見つめていたが、やがて震える手で封筒を破り、中をあける。そこには、一枚のカード入っていた。
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ようこそ、Separate Worldへ
徳永蒼依様、あなたは17人目の住人です。
徳永遥香様・徳永蒼依様が共に"互いの必要性"を失われたため、Separate Worldにて、あなたをお預かり致します。
あなたはここで自由に生きてください。あなたが望んだ、"大人のいない世界"で。
再び両者が必要性を見出だすことがあれば、あなた方は再会を果たせるでしょう。
あなたがこの世界で幸せを見つけられることを、心よりお祈りしております。
Separate World 管理局
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蒼依は、書かれていることの意味をなんとか読み取ろうとしたが、何度も読み返しても全く意味がわからなかった。
「全然わかんないんだけど」
「まんまじゃん。あんた、捨てられたんだよ……自分の親に。このSeparate Worldに追いやられたんだ」
淡々と言う隼人に、蒼依が首を傾げながら聞き返す。
「Separate World?」
「俺も詳しくは知らねぇよ。何日か前に来たばっかなんだから。多分、大人がいない……大人に見放された世界ってとこだろ」
「だって、さっきまでと景色変わんないよ?」
蒼依が辺りを眺めながら問い掛けた。確かに先程まで母親と喧嘩していた光景と寸分変わりない。
「景色はな。よく見てみろよ。人なんて一人も見当たらないじゃん。その手紙に書いてあるだろ?今この世界にいるのはたったの十七人。それも子供だけだ」
――子供だけの世界。そんな非現実的な事、信じられる?
そう思ったとき、学校で聞いた美砂の言葉が頭をよぎった。
『だって二ヶ月で行方不明者十五人越えだよ!? 跡形もなく、突然いなくなるんだって! だから、みんな神隠しみたいだって噂してんの!』