「あれ、ホントは村沢彼方先輩がやるはずだったんでしょ?」


あたしはさりげなく千里に聞いてみた。


すると千里は大げさに眉をしかめて考え込んでいた。


「なんで? 違うの?」


「村沢彼方先輩ってあのすっごくガラ悪い先輩でしょ?


私はありえないと思うなぁ・・・」



ガラ悪い?



あんなにマジメだった彼方先輩が?



「あたし、実は彼方先輩と中学校一緒なんだけど、中学校のときはすごくマジメだったよ?

一年でそんなに変わるものなのかな?」


「私はおねえちゃんがこの高校に3年生でいるけど、いいウワサは聞かないかな・・・」



「あたし、会いたい。
会って話がしたい。 


もしかしたら何か理由があるのかもしれないもん。」


千里は心配そうにあたしの顔を覗き込んだ。


「千里は一緒に来なくても大丈夫だよ!

怖いんじゃない?」


少しおびえた目をしていたけれど、



「明音がいくって言ってるんだもの。

私でよければついていくよ?」


って決めてくれたんだ・・・


「ありがとね。」


千里の瞳は揺らめいて。


それが


‘どうなっても知らないよ・・・?’



って言ってるようにも思えた。