校長先生の挨拶と、理事長の校則についての説明など、長い話がやっと終わった。


うとうとしていたあたしも、司会者の一声で目覚めた。



「新入生にむけて、歓迎の言葉があります。


3年B組の・・・」


彼方先輩、B組なんだぁ・・・・


きっともっとかっこよくなってステージに登壇してくれるんだろうな。


いつもあたしの期待を裏切らない人だったもの。


「佐々木 誠くん、お願いします。」

呼ばれた名前は彼方先輩とは似ても似つかない名前で。


「彼方先輩、欠席したんじゃない?」



あたしもそう信じたかった。



だけど胸騒ぎは収まらなくて、もやもやしたまま。


結局彼方先輩は一度もステージに登壇しなかったし、名前を呼ばれることも無かった。



このとき気付いていればよかったんだよね。


あんなになってしまった彼方先輩を支えてあげることなど、あたしには出来なかった。


だって、


そこまで強くないと思い込んでしまってたから。


愛の力を信じれば、こんなにも簡単なことだったんだよねー?