たくさんの2・3年生が入場してきた。


あたしはドキドキしている胸を落ち着かせるように、深呼吸を繰り返した。


「彼方先輩、絶対メッチャカッコイイよ!」


あたしの後ろの真子が話しかけてくる。


「この世の中にかっこよくない彼方先輩なんて存在しないんだから!!」


「・・・惚れ込んでるね?」


「まぁね・・・」



あたしはポケットからあるものを取り出した。

彼方先輩がくれたイルカのストラップ。

修学旅行に行ったときにお土産で買ってきてくれた。

彼方先輩と色違いっていうのがものすごく嬉しくて、肌身離さず持ち歩いていた。




「一年生、入場。」


司会の先輩の一言で、列が動き出す。


あたしはストラップをポケットにしまった。

これからあたしの高校生活が幕を開ける。