「凄く酷い言い様です。」

「本当にそう思ってたから。」

クスクスと笑う。

あ、久しぶりに見た先輩の笑顔。

「ねぇ?」

桜の花が散っている。

目の前に焼却炉っていうのは少し絵にはならないけど、桜は自慢できる程綺麗。

「幸せって、手を伸ばしたら掴めるもんでもないの。意外にひっそりと隣に座ってる。」

「…はい。」

「頑張るのも良いけど、もしかしたら隣にある幸せを見失わないようにね?」

「…はい。」

「もう卒業、なんだ。」

花をつけた先輩が空を見上げた。

憂いを含んだその顔はとても綺麗。