高橋くんは、食堂の備え付けの自販機の前で止まる。

何も買うのが無かったから私は黙っていた。

「…それは無理がある。」

と言いにくそうに口を開く。

「ボーカルとドラマーと辛うじて選ばれた一年も微妙だろ。さすがに何も出来ない。」

「…うーん…。」

現実問題、だった。

やはり凡々頭の私には、冴えることなんて一生に一回あるのも良いところなんだろう。

「…うー…。」

「轟。」

高橋くんではない男子の声。

「あぁ、青。」

「なんでそんなに唸ってんの。」

奇特な目で見られる。