「林檎飴。」

「…。」

「あたしが金魚すくい代払ったからでしょう?別に気にしなくて良いのに。」

「そういうもんなんだよ。」

溜め息を吐かれる。

まぁ、納得しておこう。

林檎飴の屋台は結構並んでいた。

行き交う人々はみんな笑顔で夏祭りってすごい。

この中で去年、あたしは不服そうな顔をしていたのか。

「去年。」

雪比良が口を開く。

「誘えば良かった。」

「…何に?」

「夏祭り。」

ドキンと胸が高鳴る。

「歓迎会の時、奢るっつって簡単についてきたから。夏祭りも同じ手口でサッサと誘えばよかった。」