視界が歪む。

それは雪比良で、優しく腕に入れてくれて。

優しくキスをしてくれた。
水で濡らした唇のうえを滑るように官能的に。

離された時、我に返った。

「…あれは、不可抗力で。」

「あぁ。」

「ごめんなさい。」

「お前が謝ることじゃない。」

抱き締められたまま、髪を梳かれるのでくすぐったい。

「なんでそんなに泣いてんだよ?」

「だって…別れるって言われるかと…。」

…あたし、キモイ。
なんかこんな甘ったれた性格だったっけ?

「お前さ、もう少し自意識過剰になれば?」