懐かしい…ではなく、久しぶりに見た未恵(ミエ)の姿。

俺はスッと視線を逸らして目を瞑る。

耐えるんじゃない。
やり過ごすんだ。

悲しさに価値がないなんて思わない。

ただ…思い出にあればあるほど、深く惹かれてしまうから。

早く消えて欲しいと願う。

「…たまに見る。夜、駅の前を歩いてると。」

「そうか。」

「憎いけど、恨んではないんだ。だって…この世に1人のあたしを生んでくれた人だから。」

立派だな。

微笑んだ。




「…なぁ、透子。」

「なに?」

カフェを出て、街中を歩く。