海の水は、穏やかにこっちへ来たり戻ったりしている。 「…もどるか?」 返事を聞く前に、音宮を抱き起こす。 「疑問じゃなくて決定事項みたい。」 「…戻ろう。」 言い直すとクスクスと笑い出し、ツボにはまったらしく体を捩る。 意外に笑い上戸。 しかも長い。 「ほら、置いてくぞ。」 とか言いながらも体制が整うのを待つ俺。 音宮は俺の手に巻き付いて、引きずられるようにして歩く。